靴下博物館

サンタクロースはなぜ、靴下にプレゼントを入れるんだろう?Santa Claus and socks

 クリスマスイヴの夜、あるいはクリスマス当夜。サンタクロースからのプレゼントをもらうために、子供たちは靴下をつるす。サンタクロースはなぜ、靴下にプレゼントを入れてくれるのだろうか?
 このナゾを解くためには、まず、サンタクロースのモデルとなった聖人ニクラウスのことを知る必要がある。聖ニクラウスは、4世紀にミュラという町に実在した東方教会の司祭。伝説によると、彼はたいへん慈悲深く、子供が大好きで、多くの奇跡をおこなって貧しい人たちを助けたという。さまざまな言い伝えの中で、後世、クリスマスプレゼントの習慣と結びついたのは、貧しい3人の娘を助けたお話。
 ある一家が、あまりの生活の苦しさに、娘3人を過酷な仕事に出すという話を聞きつけた聖ニクラウスは、たいそう同情し、夜中に煙突から娘たちへの贈り物として金貨をつぎつぎに投げ込んでやった。すると金貨は、たまたま暖炉に干してあった靴下の中に入ってしまった。翌朝、一家が靴下の中の金貨に驚きの声をあげたことはいうまでもない。そのおかげで、3人の娘は幸せな結婚ができたという。
 サンタクロースと靴下の関係は、こんなお話が元となって生まれた。そして世界中で、大小さまざま、色とりどりの靴下がクリスマスの願い事の受け皿となっていく。
 スペインでは、いい子にしていないと、プレゼントの代わりに消し炭を入れられてしまうとか。子供たちは、暖炉の靴下を祈るような気持ちで見つめながら眠りにつく。

“くつしたの日”制定記念として作成された、
荒俣宏氏著作・監修の『THE BOOK OF SOCKS AND STOCKING』より