靴下博物館

素足感覚のストッキングFootcover or peds

 女性の素足の美しさを印象付けたハリウッド映画に、エヴァ・ガードナーが主演した「裸足の伯爵婦人」という作品があった。貧しいジプシーの踊り子マリアが、その美貌と数奇な運命でスターダムにのし上がり、イタリアの伯爵夫人にまでなる……というお話。
 伯爵が彼女を見初めるシーンが印象的だった。今は社交界のスターとなっているマリアが、草原でジプシーと裸足で踊っている。木陰からじっと見つめる伯爵。タイトスカートからすらりと伸びた素足を、つま先立てて踊るエヴァ・ガードナーの美しさはゴージャスな官能を発散していた。
 素足の女性には“開かれた女”のイメージがある。ヒールのある靴に素足もセクシーだが、足のコンディションを考えると、ちょっとつらいこともある。そこで、パリジェンヌお好みのストッキング生地でできた靴からはみ出ないごく短い靴下が登場。足先だけでも靴下を履いているという気分。このささやかな“履き感”が秘密めいた快感を招く。

“くつしたの日”制定記念として作成された、
荒俣宏氏著作・監修の『THE BOOK OF SOCKS AND STOCKING』より