大正13年から昭和4年

所蔵品でたどる靴下の変遷1 (大正13年から昭和4年)

1.バンナー靴下

制作年:大正13年
編機名:バンナー機(又はスプリットフート機)
製造会社:ヘンフィル社(アメリカ)
針数:240本
糸遣い
ゴム部:綿糸
身部:シルク
カカト部、ツマ先部:綿糸
甲部:シルク
足底部:綿糸
特徴
(a)写真のように、足底部と足甲部を別々の糸で編んだ靴下。
(b)サンプルは、足底部は綿糸、足甲部をシルクで編まれている。

その他
バンナー(Banner)靴下のネーミングの語源は不明である。業界では一般的にスプリット(Split)フートと同意語として理解されている靴下である。
スプリット(Split)とは、分離する、縦に分割する等の意味がある。
バンナー(Banner)は、旗、軍旗の意味が一般的であるが、最高の、第一級のという意味もあり、当時の靴下として、又、編機の機能から見て最高級の靴下であったと想像される。

2.日本最初のボス柄靴下

制作年:昭和2年
編機名:ウイルド機
製造会社:ウイルド社(イギリス)  
針数:220本
糸遣い
 ゴム部:毛糸
 身部:毛糸
 カカト部、ツマ先部:毛糸
 甲部:毛糸
 足底部:毛糸
特記
(a) 大正12年、ラップ柄(ボス柄)の編機を内外編物(現、株式会社ナイガイ)が日本で初めて輸入した。
(b) 当時は柄が出せる範囲が狭かったのでサンプルのような柄が主だったが、当時としてめずらしかったので評判を取ったと記されている。

3.レーヨン・綿交編のシンカー柄子供長靴下

制作年:昭和4年
編機名:シンカー柄機      
製造会社:(アメリカ)
針数:160本
糸遣い
 ゴム部:綿糸
 身部 表糸:レーヨン糸 裏糸:綿糸
 カカト部、ツマ先部:綿糸
 甲部:身部と同
 足底部:身部と同
特記
(a)特殊シンカーを使用して、プレーティングで柄を作った靴下。
(b)レーヨンは大正7年にはじめて作られた化学繊維である。
(c)サンプルはその素材を利用したもので、光沢性がある。

4.ミラニーズ編地を靴下の足底部に縫製して作った柄靴下

制作年:昭和4年      
編機名:B式機
針数:不明
糸遣い
 ゴム部:毛糸
 身部:毛糸
 カカト部、ツマ先部:毛糸
 甲部:毛糸
 足底部:毛糸
特記
(a) 当時はまだ柄編機は少なく、柄の靴下の要望に対して他の編地を靴下に縫製して柄靴下を作った。
(b) 戦後も柄に特性を持たせるため、他の編地を靴下に縫製したものもあった。
(c) ミラニーズとは、経編み機による編地の一種である。
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