編み機と女性が織りなす美しい風景(株式会社兵庫センイ・ソックス)

国産くつしたの2大産地と言われいている兵庫県加古川市。その中でも80名ものスタッフが各々くつした作りの細かい工程を丁寧に向き合っている工場へやってきた。

株式会社兵庫センイ・ソックス/加古川市 (兵庫県)

1948年に、同社の元となる「柿坪武市商店」は創業された。その後に設立した別の会社と合併し、1969年に「株式会社兵庫センイ・ソックス」と改名し、現在に至る。

広い敷地の中でくつしたを作るほとんどの工程が完結されていて、工場の広さと数えきれないほどの編み機が動く環境は、何度訪れても圧倒される。せわしなくくつしたを作りつづけている編み機が所狭しと並び、迫力ある目の前の景色にどこから見て良いのか迷うほどである。
止むことなく規則的にくつしたを編み立てる音が鳴り響いていて、稼働が終わる瞬間が想像できないほど、工場そのものが生き生きとしている。
今では立派なくつした工場として質の高い商品を多く生み出しているが、創業当時の話を聞くと苦労の色がうかがえた。
創業当時、加古川で新しい事業としてスタートしたくつした作りであったが、販売する場所があったわけではないのでそのくつしたを自分たちで大阪まで売りに行っていたそうだ。今でこそ様々なメーカーと協力し合って百貨店のくつした売り場に多くの商品を並べているが、何もない戦後の時代から地域全体でくつしたの産地として成長をさせて現在に至るのである。そして、多くの海外製の商品に負けないために日々、最高の品を作る工夫を続けている。
また、同社を支えているのは多くの女性だという。
くつしたという小さいけれど工程も複雑で細かい作業の多いものづくりには、彼女たちの活躍があって成り立っているそうだ。
スタッフの多くは女性で構成されており、作業台の高さや多くのスペースが、女性向けに作られている。

工場の中では手早くこなす多くの女性が居て、黙々というよりチャキチャキという印象でその無駄のないこなしは、飽くことなく見てられる。
工場全体を見渡すと、規則的な機械の音と動き、そしてその隣で細やかに仕事をこなす女性スタッフの作業風景の掛け算がとても美しいシーンを作り出していることに気がつく。

くつしたを作り続けて70年。その工場の貫禄はプライドを持って仕事をこなしつづけている編み機と、コツコツと女性スタッフたちが長年に渡って積み上げてきたものなのだろう。

株式会社兵庫センイ・ソックス

兵庫県加古川市東神吉町升田1155

※掲載内容は、すべて記事掲載当時の情報となります。

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