溢れる優しさでくつしたをつくる人 (野瀬和弘さん)

この夏、広陵町(奈良県)にあるこだわりのくつしたづくりをしている旭ソックス株式会社へ訪れた。終始柔らかい笑顔でインタビューに応えてくれる彼のその姿に、くつしたへの思いと、人への優しさを感じた。

旭ソックス株式会社 代表取締役
野瀬和弘さん


大学卒業後はアパレルメーカーへ就職をし、数年経ってから親が創業した旭ソックス株式会社へ戻ってきた。
「それまでは神戸にいたんですが、結婚を機に戻って継ぐことを決めましたね。将来は、、息子にも継いでほしいなぁと本心では思いますが、自分の意思で決めてほしいから無理強いをするつもりはありません。」
その優しさは、父親から学んだことだという。
「うちの父親は他人に甘い人でした。自分には厳しくするんですけど、家族であっても周りに対してはとても寛大で。」

その受け継がれた優しさは、一緒に働く仲間たちに向けても注がれているのがわかった。40名ほどの従業員を束ねていく立場であるのにも関わらず、とにかく現場の仕事を進んでやっているのだ。

「糸の発注なんかも私がやっていますよ。いかにも社長です!という態度は取りたくないんです。社員と同じ目線で働いて、普通に話をしたいし、声をかけやすい存在でありたいとは常に思っています。」
もちろんくつしたへの情熱も人一倍。
「作りたいくつしたは、また欲しいな、と思うもの。お店で買って、履いてみて、履き心地がいいなと思ったら同じものが欲しいでしょう。そう思われるものを作りたいんです。」

もともと会社としては子供向けのくつした作りがスタートだったが、その後大人向けの商品を作れるような環境を整え、とにかくくつした作りのプロフェッショナルであり続けることを大事にしている。だから作りたいものは、ヒット商品ではなくずーっと愛され続ける1足なのだとか。
高品質なくつしたづくりと、人との和を大事にしている会社として、社長のキャラクターがそのままその会社らしさを表現しているのを感じた。

「自分で履いているくつしたは赤が多いかな。明るいカラーのものが好きです。元気が出るからね。」
ニコニコしながら足を見せてくれた。
最後に、ご趣味は?と聞いたら、「嫁とドライブ。今度信州まで行くよ!」。総務(常務)を担当している可愛らしい笑顔の女性が奥様だと聞いて、仲の良さに少し驚いた。

社内の誰とのやりとりを見ても、ひとつひとつがまっすぐな優しさに包まれていた。会社も家も居心地の良さをつくれる人が編み立てたくつしたって、人を幸せにしてくれそうだな、と素直に思った。

旭ソックス株式会社 代表取締役
野瀬和弘さん

2001年より2代目として就任。
広陵町靴下組合元組合長。NHKの番組にてインタビューを受けたことも。
車が趣味で休日はドライブをするのが楽しみだそう。

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