ものづくり×真心をかけ合わせたくつしたづくり (小山雄大さん)

どんなくつしたを作ろうか。くつしたづくりを企画をする仕事において、作り方の知識とマーケットの需要がマッチして、初めてクリエイティブのスタートラインに立てるということを心から理解している人がいる。彼の情熱の根っこの部分をぜひ聞いてみたいと思う。

ナイガイ　商品部　商品２課　課長　小山雄大さん

ナイガイで商品企画をするポジション、MDを担当して18年。今はマネジメントをする立場でもあるが、そのものづくりに向けた熱い思いはそれを語る姿から偽りのないものだと感じさせられる。
彼がくつしたづくりで大事にしていることは、ものづくりをするのに忘れてはいけない心構えそのものだった。
「自分がくつしたを作るわけではないんです。社内のデザイナーや、実際に商品を編み立ててくれる工場、１つの商品に携わる人たちに僕が作りたいものやその思いをぶつけて、説得しながら進めていきます。そのため、周りの協力なくして、くつしたづくりはできないということが大前提なんですよね。
だから、良いくつしたを企画して、それがお客さまから高評価をもらってたくさん買ってもらって追加生産して、結果それが工場や周りへのお返しにもなるし、その循環をつくることが理想です。」
独りよがりではなく、周囲との関係性を意識しながらくつしたづくりをしているということが、彼がいつでも謙虚な姿勢であることの理由だというのがわかる。

小山さんが企画した商品の中でも、一際異彩を放っているのが「メンズパンスト」。その名の通り、男性用のパンストである。
発売当初、その珍しさからメディアからの問い合わせも殺到し、またその履き心地の良さから、今でも欲しいという男性ファンがいる。(※秋冬シーズン展開商品)

そもそもなぜこのメンズパンストを作ったのか。
「当時、東日本大震災後で、暖房器具の使用が制限されるようなタイミングでした。女性だけでなく、男性でも下半身の寒さに困っている人がいるという話を聞いていたので、どうしたらもっと男性も暖かくできるのかなと考えていました。
また、その頃コンビニのスイーツ売り場では男性向けに企画された商品がヒットしていて、これまで女性だけがターゲットとなっていた商品も、今後男性のマーケットでも支持されるような時代がくると感じていました。
実際に少しだけ生産して、テストマーケティングとしてとあるお店で販売してもらったところお客様の反応がとてもよく、これが市場に受け入れられるという確信があったというのも商品化できた理由のひとつです。なかなか社内を説得するのが大変でしたけどね笑。」
身近なところだけではなく、社会全体の動きを常にキャッチし商品に落とし込むことができているのはさすがである。

このメンズパンストに加え、この日小山さんが履いてきてくれたフットカバーもとても気になる１足で、次回の記事にてご紹介したいと思う。

くつしたを上手に選んでいるビジネスマンはどんな人だと思うか？
「まずはスタイリングの小物との合わせがマッチしている人。チーフ・ネクタイ・くつした、もしくはベルト・くつしたで、色を合わせたり、もしくは柄で合わせても素敵ですよね。小物はペイズリーで統一とか。
あともうひとつ面白い上級者をこの前見つけました。海外のインスタグラムで見かけた方なのですが、その人は毎日異なるテーマで洋服をとにかくオシャレに着こなしているのですが、くつしただけが絶対に毎日同じ、ネイビーのくつしたなんです。徹底してくつしたは黒子的な存在にしていて。前者とは正反対な考え方なのですが、それもくつしたの選び方として素敵だなと感心しました。彼のクローゼットのくつした入れは、同じものだけが綺麗に並んでいるんでしょうね。
あと僕自身としては、Lゾーン(ひざ下から爪先までのこと)のバランスというのもこだわっています。丈感・色味などココが決まっていれば、胸張って足元を見せられますね！」

わかりやすい説明で、男性のコーディネートに疎い女性にもわかりやすい。ぜひ、パートナーにもう少しかっこ良くスーツを着こなして欲しいとお悩みの方は、小物の合わせやLゾーンを意識してスタイリング提案をしてみては。

つくることへのこだわりと周りへ向けた真心をかけ合わせた小山さんの情熱は、くつしたづくりだけではなく、携わる周りの人たちへの感謝の気持ちを感じさせられ、聞いているだけでポジティブなエネルギーをもらえた。