2022年度「靴下川柳」受賞作品発表!

今年度で3回目を迎えた「靴下川柳」。Twitterにて募集し、1452句が集まりました!
特別審査員にコピーライターの和田裕史さんによる各句の講評とコメントとともに、受賞作品を発表いたします!

-大賞作品-

・履かぬなら 履くまで待とう イヤイヤ期 (月うさぎ さん)


大河ドラマ「どうする家康」でおなじみの徳川家康の性格を表現した「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」を彷彿させる句ですね。イヤイヤ期に苦労する親御さんの表情が浮かんできます。それに「無理して履かせるのはもう諦めた。こうなったら根競べだ!」という、お子さんと親御さんの物語も感じ取れて微笑ましいです。上句と中句が同じ言葉から始まっていることもあり、リズム感が生まれていると思います。「イヤイヤ期」という言葉を選ぶことで、お子さんの泣き声が聞こえてくるような気さえします。

和田さん「お子さんと親御さんの関係性が絶妙な句だと思います。『果たして勝利するのはどっちだ!? 』と想像したくなる楽しさがあります。」

-受賞作品(9句)-

・うさぎ柄 履いて飛躍の 年にする (pinoko さん)

兎年にピッタリな一句ですね! うさぎ柄のくつしたを履いたら、ピョンピョン飛び跳ねて間違いなく飛躍できそうな期待感を持たせてくれる一句です。そんな姿が想像できて、思わずニッコリしてしまう愛らしさもあります。「うさぎ」と「飛躍」がきれいにかかっていて、上手くまとまっていますね。

和田さん「うさぎ柄のくつしたを履いている方が、うさぎのように飛び跳ねている姿が浮かんできます。飛躍している姿に、思わずあやかりたくなるような縁起の良さを感じる一句ですね。」

・靴下に こっそり忍ばす 推しカラー (徒然つぶやき さん)

これは、共感できる方が多いかもしれません。自分の好きな推しカラーを身に着けると、気分が少し上を向きますよね。思わず「あるある!」と頷いてしまいます。それに、他の人の目につきにくいくつしたにこっそりと忍ばせているあたりが、余計に想像力をかきたててくれます。「推しカラー」という言葉自体にも、面白みがあります。

和田さん「推しカラーの靴下を履いて自分の気分を上げようとする姿が微笑ましいですよね。思わず『何色の靴下なんだろう?』と想像してしまいました。」

・次捨てよう 次捨てようが 7回目 (コロンビア五郎 さん)

なかなか捨てられないまま履き続けている。そんなくつしたを大切にしている姿が目に浮かぶようです。捨てようと思っていたくらいですから、穴が開いていたりヨレヨレになっていたりするのかもしれません。でも、捨てるタイミングを逃して履き続けている光景にユニークさがあります。「7回目」という数字の選び方も多過ぎず少な過ぎず、ちょうどいいさじ加減だと思います。

和田さん「くつしたを捨てるタイミングって難しいですよね。ついつい、『もう少し履ける!』と思って履き続けてしまいます。この句の作者の方も、おそらく似た心境なのだろうと思います。そう考えると、余計にユニークさが引き立ちますね。」

・帰宅して 疲れと靴下 脱ぎ捨てる (はるお さん)

クタクタに疲れて家に帰りくつしたを脱いだ瞬間の、疲れまで脱ぎ捨てているような不思議な感覚が伝わってきます。疲れとくつしたを一つのセットで考える着眼点がいいですし、「脱ぎ捨てる」という言葉で上手くまとめている点も素晴らしいです。「脱ぎ捨てる」の「捨てる」という言葉がポイントで、単に「脱ぐ」だけだと言葉として弱いですが、「脱ぎ捨てる」と表現することで、より強さが増す表現になっています。

和田さん「疲れて家に帰った後にくつしたを脱ぐのって気持ちいいですよね。『さあ、これからゆっくりと休むぞー!』という気持ちにスイッチが切り替わります。脱ぐことで、外と中・オンとオフを切り替えているのかもしれませんね。」

・出てくると 信じて片方 捨てられず (もふもふ さん)

片方だけ行方不明になるのは“くつしたあるある”ですが、誰もが共感できることをテーマにしている点がポイントです。片方だけになったくつしたを捨ててしまうのは簡単ですが、「いつか」と、出てくるのを待っている姿に、生活感が感じられて素敵だと思います。「信じる」という気持ちのこもった言葉を選ぶことで、より現実味が増していると思います。

和田さん「『どこにいったんだろう?』と思って探しても、なかなか見つからない。でも、ある日思いがけない場所で見つかるくつした。そんな、誰もが一度は経験する出来事がテーマなので共感力が高めな句です。」

・「自分で履く!」 2歳譲らず バス乗れず (きんとき さん)

2歳児のお子さんが駄々をこねている様子が具体的にイメージできます。年齢を限定している点もリアリティがありますね。「バスに乗れず」という点も、物語が想像できます。上句・中句・下句ともに、情景が鮮明に浮かんでくる点が素晴らしいです。

和田さん「“バスに乗れなかった”というオチがついていて、とても分かりやすい句ですね。『自分で履く!』と意地になっている2歳のお子さんの表情も浮かんできて、より物語性が増していると思います。」

・靴下に 手抜き掃除を 見破られ (やすよ さん)

生活の中の何気ない一コマを上手くまとめている一句です。きっと、誰もがくつしたにホコリや小さなゴミが付いていた経験があるはず。その時の小さな出来事をしっかりと心に残しておくことで、より共感性の高い川柳が書けると思います。川柳のテーマは身近な生活の中にあることを、改めて気が付かせてくれる一句だと思います。

和田さん「“生活あるある”から生まれた一句かもしれませんね。誰もが経験あることをテーマに選んでいるので、『私も経験ある!』と共感しやすい句に仕上がっています。」

・靴下を 立って履けない お年頃 (さささささ さん)

「立って履けない」という老いを連想させる言葉と、「お年頃」という若さを連想させる言葉の対比が面白いです。特に、「お年頃」の「お」が対比をよりクッキリとさせています。ネガティブに捉えがちな老いですが、笑い飛ばそうとするような明るさも伝わってきます。実際に、くつしたを履こうとして四苦八苦している姿がイメージできるので、想像力をかきたてられる一句です。

和田さん「思わず笑ってしまう一句でした。老いを笑いに変えるポジティブさが、この句から伝わってくるようです。読んだ後の読後感も、明るさと楽しさが残りました。」

・靴下で 暖房節約 ゼロカーボン (中野弘樹 さん)

「節約」と「ゼロカーボン」という、時事性の高い言葉を選ぶことで共感できる句になっていると思います。あたたかいくつしたを履いて暖房のスイッチを消せば、電気代が節約できる上にゼロカーボン(温室効果ガスの排出量ゼロ)にも貢献できるので、改めてくつしたの偉大さに気づかせてくれます。くつしたの価値を、時事性の高い話題の言葉に置き換えている点がポイントだと思います。

和田さん「くつしたを履くことで、お財布にも地球環境にも優しいので一石二鳥ですね。この句はくつしたの持つ価値に着目しているので、くつしたのありがたみの再発見にもつながっていると思いました。」

以上10句が受賞されました!おめでとうございます!
講評とコメントを寄せてくださった和田さんも、それぞれの川柳をとても楽しんで読んでくれたそう。
「限られた5・7・5の文字数の中で、どんな着眼点で見て、どんな表現をするか。とても難しいですが、その組み合わせをうまく仕上げることで良い一句ができあがります。より具体的なシーンがイメージできるものほど、共感できて心に残るものですね。」

川柳を詠むことを通じて、くつしたの存在意義を改めて発見する機会になればとてもうれしく思います。

和田裕史さんプロフィール

コピーライターであり企業ブランディングのプランナー。
大学院中退後、出版社にてビジネス系書籍の編集者を経験。その後、ブランディングテクノロジー株式会社にて企業ブランディングやコピーライティングなどを担当。長年、言葉を使った仕事に従事してきた。
様々な企業のコピーをピックアップした #きょうのコピー はnoteにて毎日更新中!
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Twitter:@hiroshiwada12

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