ニットに魅了されて(佐藤梨々子さん)

どんな職業につきたいか。子供の頃に、たくさん悩んだ〝将来の夢〟。好きなことを仕事にできるということは、自分の本当に好きなものを知っているということ。そこに突き進める人は常に輝いているものだ。

株式会社ナイガイ 企画開発部 企画室
佐藤梨々子さん


佐藤さんは、今年で4年目を迎えるくつしたのデザイナー。彼女の作るくつしたは、どれも生き生きしていて作り手が楽しんでいるのがよくわかる。穏やかに品よく言葉を選びながら話す姿からは想像ができない、心の中の熱い思いがあるのだろうと感じさせれる。

物心をついた頃から、洋服好きの母親の影響でリサイクルショップでの服選びや、新聞紙などを使った図工の延長線上に服作りがあったそう。中学校に上がる頃には、将来服飾関係の道を進むことを決めていたという。

専門学校に進学して、1年目は基礎を学び、2年目により具体的な学びを専攻していく中で彼女が選んだのは「ニット科」。パターンやテキスタイルなど色々な選択肢がある中でなぜニットを?

「いわゆる一般的な洋服というと、デザインに合わせてパターンを作って、生地を切って縫製して、という流れが〝決まったこと〟という感覚があって。それに比べてニットというものは糸の組み合わせによって仕上がりも異なり、出来上がったものも伸縮性があって形が決まっているようで決まっていない。糸という細く小さなもので表現することに魅力を感じて深く学びたいと専攻をしました。ニットって、自由でいいな、と思って。」
デザイナーといえど、何もかも自分だけで作り上げているのではない、というのがナイガイに就職して初めて知ったこと。くつしたを1つ作り上げていくのにも、色々な人の思いや手が加わって商品となる。チームワークがとても重要であるということは実際に現場で学んだ。

「例えば秋冬の企画であれば、10月以降に糸商さんから糸に関するプレゼンを受けます。新作だったり、どんなものが今流行っているのか。その素材を元にどんなくつしたを仕上げるかMDと話し合いながらイメージを膨らませていきます。年明けの1月には工場へ出向いてメーカーさんとサンプルを作って確認しあって、密なコミュニケーションを取ってようやく出来上がりが見えてきます。そして4月の展示会でお披露目、となります。」


また、デザインを考えるにあたり、彼女がアイディアソースとして使っているのは、古着屋やセレクトショップなどの洋服屋さん。こんなコーディネートに合わせてみたいと思ったり、服のデザインをそのままくつしたの編み地に落とし込んだりしているそう。
例えば、このパネルアイレットというくつした。これは実際の穴の開いたデザインのニットからヒントを得てデザインしたアイテムだ。カジュアルなデザインでもスリットから肌が見えることで立体感とすっきりとした印象を感じられる。まさに足元からオシャレ上級者になれる1足である。

その他にも裏側に出た糸を生かすために表裏を逆にしたくつしたは、その見栄えの華やかさからプレス関係者からも人気の商品だ。
こんな発想力の高い佐藤さんにとっては、実際にくつしたを編み立ててくれるメーカーさんとのやりとりが醍醐味であり、自分が想像しているもの・作りたいものを共有して、そこから作り上げてもらうところに最も達成感を感じるそうだ。思い描いたものが出来上がった時、心から「よかったなー」と安堵すると言う。

自分の頭の中に描いていたものを、いかに伝えて具体的な商品として表現してもらうか。若く、そして愛らしいその笑顔と共に、無限大に広がるそのクリエイティブの力をこれからも、先人が積み上げてきたくつしたづくりの歴史の上に継ぎ足していってほしい。

株式会社ナイガイ 企画開発部 企画室
佐藤梨々子さん

2016年ナイガイ入社。こよなく日本酒とウイスキーを愛する東北出身のデザイナー。
休日はもっぱら古着屋やパン屋巡りなどショッピングを楽しんでいる。寒さが増してきたこともあり、自宅では棒編みでマフラーを編んでいるそう。「次は、ニットのトップスにチャレンジしようかと思っています。」

佐藤さんおすすめの1 足
パネルアイレット(NAIGAI STYLE)

品番3091-158  ¥ 1, 300(税抜)

※商品情報は、記事掲載当時の情報となります。

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