小山先輩、今日はよろしくお願いします。早速ですが、小山さんといえば、「男性用パンスト」など、これまでにない斬新なアイデアでヒット商品を連発されていますよね。発想のもとはどこにあるんでしょうか?
いきなり直球でくるね(笑)。偉そうなことは言えないけど、「ヒット商品をつくりたい」と心から思うことがひとつ。その上で、いろんなことに興味を持つ、好奇心が旺盛であるというのは大事じゃないかな。新聞、雑誌、ネットで情報を仕入れるのはもちろん、たとえばだけど、「今、女子の間で流行っているスイーツって何だろう?」とか、「洗剤や柔軟剤で人気の香りは?」とか、そんなところからインスピレーションを得て、「こんな商品ならニーズがあるんじゃないか」と仮説を立てる。
男性パンストのときはちょうど寒冬で、「昔はモモヒキをはいていたけど、今でも通用するのかな?」「もっと薄くて、スーツのラインを崩さないものなら、若い人でも抵抗がないだろうか?」と考えていたところに、うちのお客様相談室に初老のご婦人から問い合わせがあったんだ。「主人が寒がりで困っている。自分のパンストをこっそり貸しているが、どうもしっくりこない。男性仕様のものがあれば主人もきっと喜ぶのに」。
それでピンときたわけですね!
女性もののアイテムを男性版につくり変えて人気が出る兆候が世の中的にもあったから、タイミングがよかったということもある。ただし、すぐに商品化するわけじゃないんだ。そもそもマーケットはあるのか、男性下着のトレンドはどうなっているのか、自分なりに下調べをしたり、上司や同僚、友人たちにリサーチしたり。もちろん会社として利益が出せるのか、数字も徹底的につめて、「これならいける!」となって社内プレゼンに臨んだよ。
なるほど、 説得材料をいくつも積み重ねて、商品を熟成させていくんですね。
でも、最後は数字じゃないんだ。それは何だと思う? 僕は“情熱”だけだと思っている。データはもちろん準備しているけど、上から突っ込まれたときの隠し玉みたいなもの。それよりも、この商品がなぜ必要なのか、熱意を持って “自分の言葉で語る” ことがすごく大事で、それがみんなの気持ちを引きつけたのかなと思うよ。
男性パンストは、僕が営業を担当する百貨店の売り場でも冬の定番商品になっているようですね。買われる年齢層も30代から60代、70代まで幅広いと聞いています。開発した方から直接お話を伺うと、商品化から5年経った今もロングヒットを続ける理由がわかる気がします!
入社一年目の3カ月間の研修後はレディス営業の一員としてひとり立ちさせてもらっていますが、まだまだわからないことだらけ。どうすれば現場でもっと喜ばれる仕事ができるのか、どんなことに気をつけたらいいのか、先輩からのアドバイスをお願いします。
そうだなあ、僕も時々販売に入ることがあって、そこで思うのは、お客様は売り場で商品を買ってくれる人だけじゃないってこと。
販売員さん、百貨店のバイヤーさん、得意先の社員さん…会社から一歩出たら、全員が自分のお客様だと思って耳を傾けると、やるべきことがおのずと見えてくると思うよ。たとえば、販売員さんから「セール品が売れないのよね」なんてつぶやきを聞いたとしたら、大貫くんならどうする?
う~ん、そうですね、周辺百貨店のセール状況を見に行って、販売員さんに報告すれば少しは役に立てるんじゃないかって思いますけど。
その通り。でも、報告だけでいいのかな?さらに次の日、「じゃあ、こちらはこういうことをしかけましょう」とプレゼンテーションできれば、もっと厚い信頼を得られるよね?お客様の声に隠されている問題や不満、不安を汲みとって、“顧客視点”から発想し、解決してあげることが “提案型の営業”の本質じゃないかと僕は思う。これは営業に限ったことではないけど、何事も“受け身”で捉えるんじゃなく、自分から踏み込んで、親身になって行動してこそ、新しい明日の一歩が生まれるんじゃないかな。それを日々心がけると、 「ナイガイさんはやっぱり違いますね~」と言われると思うよ!(笑)
会社から一歩出たら、全員がお客様だと思って話を聞き、提案型で行動する、ですね。わかりました、がんばります!
ところで、僕みたいな新人がこんなことを聞くのは失礼かもしれませんが、小山さんはメンズソックスの企画のリーダーとして、どんな目標を持たれていますか?
僕もリーダーとしては新人だからね(笑)、いろいろ悩むこともあるけど、自分の部下には、僕自身が培ってきたノウハウ、考え方、経験含めて、すべてを伝えたいと思っているよ。
それを踏み台にしてもらって、各自がいろんなやり方、角度で自分の流儀みたいなものを構築し、磨きをかけて、スキルアップしてもらいたいというのがまずひとつ。
もうひとつは、今いるメンバーがやりたいことをやれる環境づくりをしていきたい。
自分も若いときにそうしてもらったように、「やりたい」と手を上げた人たちにはどんどんやってもらいたいと思う。
それはナイガイの社風としてありますよね。創立95周年記念パーティも2年目の社員が中心になって仕切っていましたし、普通なら任せてもらえないことも、「よし、やってみろ!」と言ってくれる風土はすごくあると思います。
僕も、先輩たちに負けないように思い切ってがんばらないと…と思うんですが、自分からやりたいと言っておきながら、失敗するのも怖いような…。
そこは僕自身の教訓でもあるけど、僕なら逆に「失敗しろ」と言いたいね。
失敗したら、なぜ失敗したのか原因もわかるし、次はどこを修正・工夫すればいいかもわかる。大切なのは、同じ失敗を2度繰り返さないこと。失敗という経験を自分の血や肉、骨にすれば、それでいいんだよ。
そう言われると、ちょっと元気が出てきます(笑)。
僕も過去に何度か大きな失敗をしたことがある。翌日、会社を休もうかと思うぐらい(笑)。でも、一人で考え込んでも仕方ないから、信頼できる上司や先輩に相談して、一緒に解決策を探ってもらったな。それに、そのときは怒られたとしても、上司の「俺もやったよ」のひと言で救われることもあるからね。むしろよくないのは、ため込んで前へ進めないこと。
大貫くんも、何でも相談できる上司、先輩を早く見つけておくといいよ。
はい、それはすごく重要なことですね。ちなみに、小山さん自身がナイガイで叶えたい夢や目標があれば、それもお聞きしたいです。
ナイガイは本当に靴下が好きな人間ばかり。僕もその一人だけど、だからこそ、5年後、10年後、20年後、“モノづくりニッポン”を代表できるような新しい製品で、日本のマーケットはさることながら、海外のマーケットに打ち出していかないといけないと思っているんだ。
海外を意識して、5年前からは英会話も勉強しているし、僕がプロジェクトの発起人になって、デザイナーや英語の得意な営業マンをたらしこみ(笑)、LAで年2回開催されている世界最大のアパレル展示会
「マジック」にも出展しているのは大貫くんも知っているよね?
会社の将来につながることで、新しい市場開拓をするという意味でも、これからもどんどん面白い試みをしていきたいね。
会社の将来をも見据えてお仕事されている小山さんから見て、ずばり、ナイガイの社風や気質に合う人材とは、どんなタイプだと考えますか?
やっぱり“情熱を持っている人”。とにもかくにも自分の内側に熱い魂がなければ、目標があってもやり遂げられないと思うから。
いろんな課題をやり遂げる力、目標を達成する原動力は“情熱”だけ。
そして、常に自分を鼓舞する
“情熱”を絶やさないためには、いろんなことに興味や関心を持って、いろんな声に耳を傾けたらいいと思う。
最後に、就職活動中の学生さんたちに、エールをお願いします!
ナイガイの企業風土は、さっきもお話したように、「やりたい」人間にはどんどんフィールドや資源を提供する、大きな心を持った会社です。創業百年になろうという会社ですから、伝統ゆえの厳しさもありますが、先輩が多いということは、人生の勉強もたくさんさせてもらえる場所になると思います。
みなさんの若い力を生かして、会社の新しい方向性を見つけ、靴下のマーケットをどんどん広げていきたいと思っていますので、ぜひ協力し合い、一緒に
楽しい未来をつくっていきましょう!
大変力強い言葉をいただきました!じゃあ、僕からもひと言。
勤務地である赤坂は、おしゃれで大人な街。アパレル業界にいる以上、こんなに恵まれた条件はないと思います。諸先輩がたの教えを受け、また、感性を磨きながら、一緒にがんばっていきましょう!
小山さん、今日はどうもありがとうございました!!