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「ハマグリパイル」が生まれたのはおよそ50年前。以来、現在も販売を続けているナイガイにとって大切なロングセラー商品です。しかも、秋冬4ヵ月だけの販売期間に毎シーズン10万足が売れるヒット商品でもあります。これほど長きにわたり多くのご支持をいただけるのは、発売当初からまったく変わらぬ素材・色・柄・形、そして職人さんによる丹念な仕事ゆえだと思っています。
正直に言うと、一度だけ、時流に合わせた色に変更したことがあります。ところが、そのとたんに「元の色に戻してほしい」というご要望が多く寄せられてきました。お客様が求めているものを再認識したという次第です。
「ハマグリパイル」を作っているのは、編み立てを担当する方と仕上げの刺しゅうを担当する方のお二人だけ。この編み立て作業には、今ではほとんど使われることがなくなったB式パイルという編み機が使われています。手作業を多く必要とし、確かな技術と経験が求められる旧式の機械を使い続けているのには理由があります。
「ハマグリパイル」を横にして厚さを計ると、およそ2センチ。これほどの厚みになるのは、内側のパイル部分が普通のソックスよりもはるかに長いループに仕上げられているから。このループが独自の風合いと履き心地の良さ、そして暖かさの秘密です。
コンピューター制御の最新編み機を使えば生産効率はグンと上がるのですが、ここまで長いループになると人の手に頼らなければ作ることができず、お客様が支持してくださる風合いや履き心地の良さも生まれません。だからこそ、あくまで古い機械を使った手作業にこだわっているのです。
足口の三角模様の刺しゅうも、もちろん手仕事。ハマグリミシンと呼ばれる、これも古い型の専用ミシンで一つひとつ丁寧に仕上げていきます。その刺しゅう糸には、靴下全体が同じ伸縮性を持つように、身生地と同じウール糸を用いています。これにより、合繊の糸を使った場合などと比べ、着用感が各段に良くなります。
編み立て作業に携わっているのは、70歳を越える職人さんお一人。かつてナイガイの社員として靴下製造に従事されていた方で、退職後もその技術と経験を生かし「ハマグリパイル」を作り続けています。
ナイガイ時代から愛用している編み機を使っての丁寧な仕事振りは、まさに職人気質。先程、毎シーズン10万足が販売されると書きましたが、これは1年間にB式パイル機で作ることのできる数に他なりません。
残念なことに、同様の編み機を使いこなし、「ハマグリパイル」を編むことができるのはこの方お一人になってしまいました。シンプルだからこそ奥が深い、ごまかしが利かない。作り手の技量や思い入れがはっきりと表れてしまうのでしょうね。
編み立ての職人さん、どうぞお元気で。1年でも長く、1足でも多く「ハマグリパイル」を作り続けてください。なにしろ、「これが無くては冬が越せない」というファンが全国に大勢いらっしゃるのですから。 |
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